2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

何やらオタクが叫んでいる

図書館の階段を軽やかに駆け上がる。1段飛ばし、2段飛ばし、まるで誰かに引っぱられているみたいにとんとんと体が弾んだ。課題を印刷するだけの用事だが、それだけでなんだかちゃんと大学生している気分に浸ってしまう幸せな青年は、小躍りに歩を進め、共同…

肛門パラドックス

10年前夢見た理想の自分などというのはもうあまり覚えていないのだが、少なくとも今の僕がその理想に近しい何者かになれているかという問いに対しては確かな自信を持ってノーと答えることができる。幼い頃は大人というものを想像もできないほどに大きく感じ…

変態紳士の全滅オーバースリープ

どこか知らない場所の、知らない誰かの笑い声が聞こえてくる。ゆっくりと体を起こした僕は、声のする方をぼんやりと眺めた。 また、つけっぱで寝ちゃったのか......。 テレビの向こうでは、見たこともない景色が次々と流されている。なんとなく、懐かしさと…

唐突イタリアン

昼食後の授業というのは何歳になっても気怠いものだ。それが苦手意識のある科目であればなおさらのことである。 七度の再履修を経て前期に中国語初級を見事踏破した僕は、中国語中級の授業に臨んでいた。これまた本来であれば三年前には取り終わっているはず…

恋する大蛇は特大うんち

合理性と一貫性に欠けた感情というものが大いに猛威を振るう市場の代表格であるところの恋愛という分野は、非論理的な思考回路を嫌うある意味で頭の固い部類の人間にとっては、ただ目に入ったというだけで理不尽に叩き殺される黒光りした昆虫のように忌み嫌…

猫とオタクとあったか便座

同期がみな卒業し、就職して全国に散り散りになった状態で一人大学に取り残されるというのはなかなかに耐え難いことであろう。しっかり大学にいかなかった自分が悪いとはいえ、しっかり大学にいけないほどに志の弱い人間に降りかかるにしては酷な災難だ。 さ…

夢うつつのデフィケーション

毎度毎度、僕という人間は実に愚かな生き物だ。明日の自分の能力をまるで別人かのように信じ込み、不可解なまでの期待を膨らます。明日の僕は、紛いもなく今日の僕の延長線上にあるというのに、明日こそはがんばれると根拠のない自信のもと、あるいは「がん…

お尻を拭いたら見えるもの

人によって指標の異なる概念を一般的に解釈することは実に難しい。「普通」とか「常識」とか、そういう類いの言葉をさも自分が絶対的に正しいかのように振りかざす人間なんて自転車のカギを排水溝に落として二週間くらい落ち込めばいいと思う。 かく言う僕も…

ハナクソ魔人はお留守番

それは到底止むようには思えない雨だった。世界は冷ややかさに包まれ、辺りには自動車が水しぶきをあげる音だけが響く。靴下はずぶ濡れで、足取りは重い。このまま永遠に暗闇から抜け出せないような、そんな気がした。 雨というのはどうも苦手だ。昔は濡れる…

ぶりぶりセンセーション

教室の外では年甲斐もなくはしゃぐ声がぽつぽつと聞こえ始めている。もうすぐ、もうすぐだ。初回の授業だから早めに終わるだろうと高を括って油断していた。まさか90分がっつり授業をするなんてね。 想定外の事態でも僕の計画は常に完璧である。あと数分もす…

秋風うんぽ

真昼だというのに心地よい風が木の葉を揺らす。半分くらい葉を落とした枝の隙間では、産卵場所でも探しているのだろうか、一匹のキアゲハがひらひらと舞い踊っている。空が青い。空き時間にベンチに横たわりながら、僕は一つ物思いに耽っていた。このブログ…

プロ大学生と不意打ち脱糞ボーイ

普通より少し高めの声で「ひさしぶり〜!!」などと抱き合う女子大生が至るところに出現する季節になった。やたら声のでかいいかにもオタクみたいな風貌の男どもの次に僕が嫌いな人種だ。 だいたいなんでそんな嬉しそうなんだ?本当に仲が良い相手なら夏休み…

今となってはうんちが気になる

「うち」という言葉の汎用性には目を見張るものがある。「僕」や「私」などと同じように一人称として使うこともあれば、「このあとうちくる?」などという使い方をすればたちまち「僕の家」「私の家」という意味になる。ただ、そんな便利な言葉だからこそ、…

犬のうんこになりたくない

試験前に単位がやばいと教室で騒ぐ人間を信用してはいけない。潤沢な交友関係を持つ彼らは決まって誰かのノートを共有し、皆で過去問を解き、協力して試験を突破していく。たった一人で大学という迷宮に迷い込み、たった一人で期末試験という強大なボスに立…