温泉でうんちを漏らした場合の微分方程式

みなさんは温泉でうんちを漏らしたことがあるだろうか。

 

温泉でうんちを漏らしたら大変だ。くさいし汚いし色もつく。有名な温泉地で茶色く色づいたお湯なんてあったら、

 

「お!ここは含鉄泉なのかな!!」

 

とウッキウキで入ってしまう人がいそうで大惨事だ。

 

そして何よりタチが悪いのが、温泉には絶え間なくお湯が注がれている。

家の風呂でうんちを漏らしてもうんちを取り除いて栓を抜いて掃除して終わりだが、お湯の絶えることのない温泉でうんちを漏らそうものなら、そこの温泉には永遠にうんちが存在し続けることになる。

無論どんどん薄まってはいくが、それでも理論上0になることはないのである。

 

さて、ここで1つの葛藤が生まれる。

「うんち汚い!でも温泉に入りたい!」

そんなとき気になるのが、一体どれほど待てば

「あ、このうんち水、うんち薄すぎてもはやただの水だな」

ってなるくらいまでうんちが薄まるのかというところに尽きるであろう。

 

今回はそんなみなさんの要望にお応えして、温泉でうんちを漏らしたあとうんちが薄まっていく様子を数学的に分析してみた。

以下よりその分析を紹介しよう。

 

濃度ρ体積Vのうんち水で満たされた温泉について、この温泉に単位時間あたり体積wの水を入れ続けると同時に、単位時間あたり体積wのうんち水を温泉から排出し続ける(注水量と排水量が同値ではないケースでの一般化は可能だかその場合でも同値のケースは個別に考慮が必要なため今回は温泉という場面設定も鑑みて同値の場合のみを議論する)。

 

なお、この温泉には朝から晩までうんち水をかき混ぜ続けるマジキチ人間がいるので(草津温泉の湯もみの人を想像していただきたい)、温泉に注がれた水は瞬時に温泉内のうんち水と一様に混ざり合い、温泉内に濃度の偏りは生じないものとする。また、うんち水の濃度による体積の変化は無視できる程度に小さいものとする。

 

ここでUn関数(ウンかんすう)を導入しよう。

 

みなさんご存知の通りうんちの質量を調査する際によく使われる関数だが、今回は時刻tにおける温泉内のうんち水に含まれるうんちの質量をUn(t)として、Un(t)の式を得ることを目標にしよう。

 

まず、時刻tにおいて濃度Un(t)/Vのうんち水が単位時間あたりw排出されるので、単位時間あたり排うんこ量はwUn(t)/Vである。

 

ここで、単位時間あたり排うんこ量は-dUn(t)/dtで得られるので、

-dUn(t)/dt = wUn(t)/V

⇒ dUn(t)/dt + wUn(t)/V = 0

さて、ここからは基本的な微分方程式を解くだけだが、積の微分の形をつくるために両辺にe^(wt/V)をかける。

{dUn(t)/dt}{e^(wt/V)} + {wUn(t)/V}{e^(w/V)} = 0

⇒ {dUn(t)/dt}{e^(wt/V)} + Un(t){(w/V}e^(wt/V)} = 0

なんとなくいけそうな匂いがしてきたのであとは両辺をtで積分してあげよう。

 Un(t){e^(wt/V)}=C (Cは積分定数)

ここで、 Un(0)=ρVよりC=ρVが求められ、

 Un(t)=ρVe^(-wt/V)

が得られる。

 

あとはここに数値を入れていけばうんち量の変化を調べられるわけだが、参考までに具体例を考えてみよう。

 

ρV = 250[g] (一般的な排うんち量)

V = 2000[L] (まあまあ狭い銭湯くらい)

w = 1[L/s] (もはや基準がわからん)

 

許容可能なうんち量を10gとして、U(t)≦10となるような時刻tを求めると約6440秒となり、この小ささの浴槽でも2時間近く待たないとうんち水は浄化されないことになる。やはりうんちは我慢した方がよさそうだ。

 

ちなみに注水量と排水量を一般化した式は

Un(t)=ρV{1 + (w注-w排)t/V}^{-w排/(w注-w排)}

となり、w排→w注±0で極限をとると先ほどの結果と一致するので、連続性まで確かめられる。興味のある方は是非計算してみてほしい。

 

この情報がみなさんの役に立つことを心より願っている。