ハナクソ魔人はお留守番

それは到底止むようには思えない雨だった。世界は冷ややかさに包まれ、辺りには自動車が水しぶきをあげる音だけが響く。靴下はずぶ濡れで、足取りは重い。このまま永遠に暗闇から抜け出せないような、そんな気がした。 雨というのはどうも苦手だ。昔は濡れる…

ぶりぶりセンセーション

教室の外では年甲斐もなくはしゃぐ声がぽつぽつと聞こえ始めている。もうすぐ、もうすぐだ。初回の授業だから早めに終わるだろうと高を括って油断していた。まさか90分がっつり授業をするなんてね。 想定外の事態でも僕の計画は常に完璧である。あと数分もす…

秋風うんぽ

真昼だというのに心地よい風が木の葉を揺らす。半分くらい葉を落とした枝の隙間では、産卵場所でも探しているのだろうか、一匹のキアゲハがひらひらと舞い踊っている。空が青い。空き時間にベンチに横たわりながら、僕は一つ物思いに耽っていた。このブログ…

プロ大学生と不意打ち脱糞ボーイ

普通より少し高めの声で「ひさしぶり〜!!」などと抱き合う女子大生が至るところに出現する季節になった。やたら声のでかいいかにもオタクみたいな風貌の男どもの次に僕が嫌いな人種だ。 だいたいなんでそんな嬉しそうなんだ?本当に仲が良い相手なら夏休み…

今となってはうんちが気になる

「うち」という言葉の汎用性には目を見張るものがある。「僕」や「私」などと同じように一人称として使うこともあれば、「このあとうちくる?」などという使い方をすればたちまち「僕の家」「私の家」という意味になる。ただ、そんな便利な言葉だからこそ、…

犬のうんこになりたくない

試験前に単位がやばいと教室で騒ぐ人間を信用してはいけない。潤沢な交友関係を持つ彼らは決まって誰かのノートを共有し、皆で過去問を解き、協力して試験を突破していく。たった一人で大学という迷宮に迷い込み、たった一人で期末試験という強大なボスに立…